高度経済成長期、昭和30~40年代にかけて、都心部に集中する労働者の持家政策推進のため、たくさんの中高層集合住宅が建てられました。当時はまだ珍しかった家風呂やダイニングキッチンを備えた住まいは誰もが憧れる存在でした。その中には、区分所有マンションとして分譲されるものもありました。それから約半世紀、全国にある区分所有マンションは、現在、約685.9万戸(マンション人口約1,513万人)。そのうち建築から40年以上を経たマンションは約115.6万戸に達します。※国土交通省HP「マンションに関する統計データ等」(2021年末時点)より抜粋
老朽化が進むマンションは、建物や設備の劣化だけでなく、老朽化が原因となって暮らしにさまざまな問題を及ぼし、現代社会への不適応も引き起こしています。
鉄とコンクリートからできた強固に見えるマンションも、適切に維持・管理されなければ長年の風雨にさらされることで劣化していきます。これらの問題が著しくなる前に、また1981(昭和56)年以前の旧耐震基準マンションは特に快適な環境と暮らしを維持するための検討を開始することをお薦めします。
一概に建替えが良いとか、大規模修繕・改修が良いなどと決められるものではありません。建物の状態、資産としての評価、再生に必要な費用、社会経済情勢など、さまざまな視点から検討し、総合的に判断する必要があります。